「カミングアウト・レターズ」
![]() | カミングアウト・レターズ 〜子どもと親・生徒と教師の往復書簡〜 (2007/12/11) RYOJI+砂川秀樹/著 太郎次郎エディタス ISBN9784811807256 商品詳細を見る |
「ありがとう、母さん。あの時、本当は泣いてたんやないか?」
(本文より抜粋)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
同性愛者の子どもとその親、生徒と教師がつづる往復書簡。
カミングアウトを受けた家族の驚きと困惑……
やがて葛藤を乗り越え、受容へといたるまでの軌跡。
生徒のカミングアウトに、真摯に向き合う教師の姿。
18歳から82歳まで、7組19通の手紙が編み出す、真実のストーリー。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
なんて、優しくも切ないやりとりなんだろう!
この本の感想は、その一言に尽きる。
図書館で手に取り、その場で夢中になって読んだのだが、読み終わった瞬間、
公共の場にもかかわらず、泣き出しそうな自分に気づいた。
他人事ではない、というのを差し引いても、
これほど心を揺さぶられた本は、あまりないと思う。
本書は、子どもと親、そして生徒と教師が、カミングアウトをした(あるいは受けた)
「あの日」を回想するかたちで交わした手紙の数々を収録した本である。
つまり、カミングアウトをうけた側は、すでに「混乱」「葛藤」の時期を過ぎ、
我が子の、生徒のセクシュアリティを受け入れた状態で手紙をつづっている。
それだけに、どの手紙からも、我が子や教え子への愛情や祝福があふれ出してくる。
しあわせになりなさい。
それぞれの手紙にこめられたメッセージが、痛いほどに切ない。
カミングアウトをしたあの日、「本当は泣いていたんやないか」とつづった
27歳の青年は、母へ当てた手紙の中で、カミングアウトについてこう書いている。
「俺は男が好きになるように生まれた。
でも、それは小さな違いだけで、俺が幸せになれへんこととは違う。
俺はそれなりに幸せやったりもする…他の人と同じように。
時々は俺もつらいかも知れへん。他のみんながそうであるように。
そういう話も家族としたいと思う自分がおった。(中略)
俺は、俺が幸せやということを、わからせてやりたかった。
産んでもらって感謝してること、伝える方法は他にないやろ?」
しかし、「カミングアウト」は諸刃の剣でもあるのだ。
悲しいかな、現在の世の中においては、
「カミングアウト」は「互いに傷つけあう行為」とほぼ同義語ではないのだろうか。
我が子が同性愛者である事実に混乱し、時に恐怖し、そうして親が傷つく。
その様子を見て、子どももまた、傷つくのである。
受け入れられないことに。なにより、誰より大切な人を傷つけてしまった事実に。
だが、それだけに、カミングアウトは、より強い絆を結びなおすきっかけにもなり得る。
困難な山を共に乗り越えた時のほうが、
平坦な道を歩き続けるよりも、絆は強くなるものだから。
ところが、そういう過程を経た上で、カミングアウトを受けたすべての人が
「受容」へと昇華させることができるかといえば、決してそうではないのである。
本書の後半には、家族からカミングアウトを受けた人達の対談も収録されている。
その中には、わかっているけれども、心から受け入れることができないのだと
泣く母親の姿もある。
当然、受け入れようと「努力」すらできず、かたくなに拒否し罵倒する人もいるだろう。
世間が寛大になってきたとはいうけれど、まだまだ同性愛者に対する
理解も風当たりも厳しいのが現状なのである。
この本の特徴は、カミングアウトを「する側」「受けた側」、
どちらか一方ではなく、それぞれに対してメッセージを送っていることにある。
著者のひとりであるRYOJI氏は言う。
「本書が、これから生まれ育つすべての子どもたちが人生に自信をもって臨めるように、
「大人がどう行動し、どんな言葉をかけてやれるのか」を考える機会になればと
願ってやまない。」
と。
セクシュアル・マイノリティのあなたに。
子を持つすべての両親に、思春期の少年少女達に、教育者達に、
ぜひとも一読をお勧めしたい一冊だ。
…ていうか、ぜひとも読んでくれ。
テーマ:生き方│ジャンル:ライフ
BOOK
| トラックバック(0)
│2008/04/27(日)21:45
« | HOME | »
FC2カウンター
カレンダー
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| - | - | - | - | - | 1 | 2 |
| 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
| 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
| 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
| 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
| 31 | - | - | - | - | - | - |
最近の記事
- 「男の子の性の本 さまざまなセクシュアリティ」 (06/12)
- 「このささやかな眠り」 (05/28)
- 気になっている本。 (05/10)
- 「カミングアウト・レターズ」 (04/27)
- 初めての方へ。 (04/27)
ブログ内検索

