「男の子の性の本 さまざまなセクシュアリティ」

男の子の性の本―さまざまなセクシュアリティ男の子の性の本
さまざまなセクシュアリティ

(2000/09)
メンズセンター/編
開放出版社
ISBN4-7592-6048-X

商品詳細を見る


私たちのセクシュアリティは、本当にさまざまです。
どれが正しくて、どれがまちがっているということはありません。

(本文より抜粋)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
あなたは、身体やセックスについて悩みを抱えていませんか?
疑問に思っていること、聞きたくても聞けないでいること、ありませんか?
あなたの身体のこと、大事な人と付き合ううえで大切なこと、
あなたはちゃんと知っていますか?
男性の視点で書かれた、10代の男の子のための、性にまつわるエトセトラ。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


読了後、思わずうなってしまった。
これは、まさしく「男の子」のための本だ。
そして同時に、すべての「性」を肯定する本でもある。
異性愛・同性愛・トランスセクシュアル・トランスベスタイトなどの
性指向(※1)や性自認(※2)の問題から、ペニスの大きさや形・機能といった
身体的な問題まで、ひとつひとつすべてにおいて、
「みんなちがって、みんないい」(金子みすゞの詩「わたしと小鳥と鈴と」からの引用)
だからそのままでいいんだよ、と、この本は繰り返し繰り返し書いている。
くだいて言っちゃうと、同性が好きでも、スカートを履きたいと思っても、かまわない。
ペニスの形だってセックスの感じ方だってみんな違ってあたりまえなんだから、
「みんなと違う、どうしよう」なんて悩む必要はぜんぜんない、ということ。

なかでも、私がこの本で一番注目したいのは、第三章の「ぼくらの悩みQ&A」だ。
ちょっと質問の内容を紹介すると、
「ボクのペニスは平均のところに当てはまらないんですが……。
 ボクは包茎で悩んでます。
 マスターベーションしすぎると頭が悪くなりますか?
 彼女と強引にセックスしたいけど……。
 「風俗」に行くのはよくないことなのですか?」
などなど。
まあ、ちょっと強引ではないかい?と思われる設問も二・三あるものの、
セクシュアリティや恋人との関係を考える上で基本的なこと、
大切なことはきっちりと押さえられているだろう。
つまり、
相手の存在を尊重しなくてはいけない、
セクシュアル・ファンタジー(性幻想)に惑わされてはいけない、
セイファー・セックス(※4)を心がけなくてはいけない、etc.

なにが面白いといって、このQ&Aには、
ひとつの質問に対して、必ず二人の回答者がそれぞれ個別に答えていることだ。
他にはこんな考え方もあるよ、と複数の回答を並べることで、
「答えはひとつじゃない」ということが、きちんと目に見えるカタチで示されている。
(個別の、独立した答えであることが重要。一人の回答者が「こうだが、こういうこともある」
とふたつ以上の意見なりを並べても、後述された方がとってつけたような印象になり、
かえって否定的な印象を与えてしまうことがままある、と私は思っている)
みんなちがう、それがあたりまえ。そのままでいいんだよ、という、
そのコンセプトが、ここにも活きている。

また、第二章の「ペニスにまつわるエトセトラ」の中で、
セイファー・セックスについて詳しく触れているところも注目したい。
ようするに、セックスする時はコンドームをつけなさいね、ということなのだけど。
なぜ、つけなければならないのか、つまり、
コンドームをつけなかった場合の危険性、例えば、性感染症の怖さ、
女の子を妊娠させてしまうとはどういうことなのか、
そういった説明もきちんとなされている。

この本の魅力はなんといっても、そのわかりやすい説明と、余計な部分をいっさい
そぎおとした簡潔な文章にある。
イラストも充実しているし、文字も大きい。
ページ数も80ページほどと少ないので、とても読みやすい。
ここまで簡単なくせに肝心なところはキッチリ押さえた本を、
私は今のところ、他に思いつけない。

ティーンエイジャー、
それも特に、ローティーン(10代前半)の男の子たちにこそ、読んで欲しい本だ。
また、活字を読むのが苦手な人、普段本を読む習慣のない人にも、ぜひお勧めしたい。
例えば携帯電話やパソコンなんかを買った時に、分厚い取扱説明書がついてくるよね?
それとは別に、よく一緒に、要点だけまとめた「これだけ読めば大丈夫!」みたいな
簡易版の説明書がついてくるけれど、あれに近い感覚で「性」のあれこれに
ついて学べるのではないかと思う。

まぁ、完全に男の子が読むことを前提に書かれているものなので、
思春期の女の子には薦めがたい(というか薦めても仕方がないというか)ではあるが。
女の子にも必要だと思うんだけどねぇ。
こうやって、ちゃんと自分を肯定してくれる本が。

…と、言うわけで。次回(多分(^^ゞ))「女の子の性の本」に続く。


※1 どの性別に、性的な興味や関心が向くかということ。
※2 身体の性別とは別に、自分がどちらの性だと思うかということ。心の性別。
※3 性感染症をさけるために、コンドームなどを使って安全なセックスを心がけること。

テーマ:モノの見方、考え方。│ジャンル:心と身体
BOOK | トラックバック(0)2008/06/12(木)21:22

「このささやかな眠り」

このささやかな眠り (創元推理文庫)このささやかな眠り
(1992/09)
マイケル・ ナーヴァ/著 柿本暎子/訳
創元社(創元推理文庫)
ISBN4-488-27901-5


商品詳細を見る


「もっと早くきみに会えていればなあ
            ― せめて五年前でもいいから」
「なぜ、今じゃいけないんだい?」

(本文より抜粋)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
七月最終日の朝。
弁護士のヘンリー・リオスと青年ヒューが出会ったのは、拘置所だった。
麻薬がらみの罪状で拘留されていたヒューは、謎めいた魅力でヘンリーを惹きつける。
当たり前のよう愛し合うふたりだったが、しかし、幸福な時は長くは続かなかった。
…ある晩、ヒューが死んだのだ。
彼の死の真相を突き止めようと決意したヘンリーは…
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


「死と再生の物語」をふたつ紹介しよう。
ひとつ目はマイケル・ナーヴァ著「このささやかな眠り(原題 THE LITTLE DEATH)」。
ゲイの弁護士が、恋人の死の真相を追うという内容の推理小説だ。

この物語は、ハッピーエンドではありえない。
なぜなら、物語の冒頭で、すでに主人公の恋人は死んでいるのだから。
しかし、敏腕弁護士ヘンリーが颯爽と犯人を追い詰め華々しく恋人の敵を討つ物語
…なのかというと、決してそういうわけでもない。
ヒューの死の真相は複雑にからみあい、意外な結末を迎えることになる。
それはおそらく、読後にある種の苦さとやるせなさの残るたぐいの終わり方だ。
しかし、だからこそ、私はこの小説には一番ふさわしい結末だと思う。
なぜなら、事故死に見立ててヒューを殺した犯人を探し当て、その罪を明るみに
さらすこと自体は、とりたててこの物語の重要なテーマではないからだ。
ヘンリーは、誰に妨害されても、どんな危険な目にあっても、友人に強く制止されても、
ひたすらまっすぐに、ヒューを殺した犯人を突き止めようとする姿勢を崩さなかった。
彼はなぜ、そこまでするのか?なにが、彼にそこまでさせるのか?
重要なのは、その「なぜ」「なにが」の部分だ。

「もしかしたら」「ぼくの求めていたのは正義などではなくて、ただヒューへの
悲しみのはけ口だったのかもしれない」
作中、彼はそう独白するが、彼を突き動かしたものは悲しみだけではないだろう。
のうのうと罪を逃れている犯人や、捜査を放棄し、事故死としてヒューの死を
処理した警察への怒りはもとより、なによりも強い慙愧の想いもあったはずだ。
殺されそうだから身を隠している、と繰り返すヒューの言葉を、
ヘンリーはまるで信じていなかった…彼が生きている間は。
そして、ようやくヘンリーが、ヒューの置かれた状況の深刻さを察したまさにその日、
彼の手のとどかないところで、ヒューは殺されてしまったのだ。
ヒューを心から愛していたヘンリーが、彼の言葉を軽んじたことを後悔し、
自分を責めなかったはずはない。
怒り、悔い、悲しみ。それらが様々に交じり合い絡まりあった、複雑な感情。
そうした諸々の感情を咀嚼して昇華させ、同時にヒューの死を受け入れ認めるための
一種の儀式ようなものとしてとして、ヘンリーは犯人探しを必要としたのじゃないだろうか。
だからこそ、あれほどに真摯でかたくなにヒューの死の真相を求めつづけた。
そんな想像をめぐらせてみると、とても切なくなってくる。

先にこの本は推理小説である、と私は書いた。
しかし、ここであえて言い直そうと思う。
これは、まぎれもない、ラブストーリーである。

というわけで、目下、二作目の「ゴールデンボーイ」が読みたくて読みたくて、
捜し歩いている最中だ。
…何が気になるって、ヒューの死を乗り越えたあとのあんたが一番気になるんだよ、
ヘンリー・リオス(笑
訳者あとがきによると、二作目には彼に新しいロマンスが用意されているそうだ。
今度こそ幸せをつかんでいるといいと願っちゃいるが、どうなんだろうなぁ…。


さて、「死と再生の物語」のふたつめは、
中山可穂著「サグラダ・ファミリア[聖家族]」を取り上げたいと思います。

テーマ:読んだ本。│ジャンル:本・雑誌
NOVEL | トラックバック(0)2008/05/28(水)20:55

気になっている本。

ただのメモです。
管理人が気になっている本…もちろんジェンダー&セクシュアリティ関係の未読のやつ。
なんかたくさんあるもんで、一ヶ所にまとめて書いておかないと忘れそうなんだよ(^ー^;
てなわけで、随時増えると思われ。増えっぱなし、ってこたぁないと思うが。
読了後、このブログに紹介できた本にはリンク貼っときます。




>>続きを読む

テーマ:読書メモ│ジャンル:本・雑誌
未分類 | トラックバック(0)2008/05/10(土)17:00

「カミングアウト・レターズ」

カミングアウト・レターズカミングアウト・レターズ
〜子どもと親・生徒と教師の往復書簡〜

(2007/12/11)
RYOJI+砂川秀樹/著
太郎次郎エディタス
ISBN9784811807256

商品詳細を見る


「ありがとう、母さん。あの時、本当は泣いてたんやないか?」
(本文より抜粋)
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
同性愛者の子どもとその親、生徒と教師がつづる往復書簡。
カミングアウトを受けた家族の驚きと困惑……
やがて葛藤を乗り越え、受容へといたるまでの軌跡。
生徒のカミングアウトに、真摯に向き合う教師の姿。
18歳から82歳まで、7組19通の手紙が編み出す、真実のストーリー。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


なんて、優しくも切ないやりとりなんだろう!
この本の感想は、その一言に尽きる。
図書館で手に取り、その場で夢中になって読んだのだが、読み終わった瞬間、
公共の場にもかかわらず、泣き出しそうな自分に気づいた。
他人事ではない、というのを差し引いても、
これほど心を揺さぶられた本は、あまりないと思う。

本書は、子どもと親、そして生徒と教師が、カミングアウトをした(あるいは受けた)
「あの日」を回想するかたちで交わした手紙の数々を収録した本である。
つまり、カミングアウトをうけた側は、すでに「混乱」「葛藤」の時期を過ぎ、
我が子の、生徒のセクシュアリティを受け入れた状態で手紙をつづっている。
それだけに、どの手紙からも、我が子や教え子への愛情や祝福があふれ出してくる。
しあわせになりなさい。
それぞれの手紙にこめられたメッセージが、痛いほどに切ない。
カミングアウトをしたあの日、「本当は泣いていたんやないか」とつづった
27歳の青年は、母へ当てた手紙の中で、カミングアウトについてこう書いている。
「俺は男が好きになるように生まれた。
 でも、それは小さな違いだけで、俺が幸せになれへんこととは違う。
 俺はそれなりに幸せやったりもする…他の人と同じように。
 時々は俺もつらいかも知れへん。他のみんながそうであるように。
 そういう話も家族としたいと思う自分がおった。(中略)
 俺は、俺が幸せやということを、わからせてやりたかった。
 産んでもらって感謝してること、伝える方法は他にないやろ?」


しかし、「カミングアウト」は諸刃の剣でもあるのだ。
悲しいかな、現在の世の中においては、
「カミングアウト」は「互いに傷つけあう行為」とほぼ同義語ではないのだろうか。
我が子が同性愛者である事実に混乱し、時に恐怖し、そうして親が傷つく。
その様子を見て、子どももまた、傷つくのである。
受け入れられないことに。なにより、誰より大切な人を傷つけてしまった事実に。
だが、それだけに、カミングアウトは、より強い絆を結びなおすきっかけにもなり得る。
困難な山を共に乗り越えた時のほうが、
平坦な道を歩き続けるよりも、絆は強くなるものだから。
ところが、そういう過程を経た上で、カミングアウトを受けたすべての人が
「受容」へと昇華させることができるかといえば、決してそうではないのである。

本書の後半には、家族からカミングアウトを受けた人達の対談も収録されている。
その中には、わかっているけれども、心から受け入れることができないのだと
泣く母親の姿もある。
当然、受け入れようと「努力」すらできず、かたくなに拒否し罵倒する人もいるだろう。
世間が寛大になってきたとはいうけれど、まだまだ同性愛者に対する
理解も風当たりも厳しいのが現状なのである。

この本の特徴は、カミングアウトを「する側」「受けた側」、
どちらか一方ではなく、それぞれに対してメッセージを送っていることにある。
著者のひとりであるRYOJI氏は言う。
「本書が、これから生まれ育つすべての子どもたちが人生に自信をもって臨めるように、
 「大人がどう行動し、どんな言葉をかけてやれるのか」を考える機会になればと
 願ってやまない。」

と。


セクシュアル・マイノリティのあなたに。
子を持つすべての両親に、思春期の少年少女達に、教育者達に、
ぜひとも一読をお勧めしたい一冊だ。

…ていうか、ぜひとも読んでくれ。

テーマ:生き方│ジャンル:ライフ
BOOK | トラックバック(0)2008/04/27(日)21:45

初めての方へ。

このブログのテーマはずばり、

「ジェンダー&セクシュアリティを考える」
異性愛、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスセクシュアル)など多様なセクシュアリティの話題から、
「男らしさ」「女らしさ」とは何かまで ―


主にジェンダーやセクシュアリティに関連する書籍(小説/コミック含)・映画を紹介し、
そこから上記のテーマについて考えていこうかと。
この世の中に、はっきりと自分のセクシュアリティを認識している人って、
いったいどのくらいいるのかな。
大多数の人にとって「自分が男(または女)である」こと、
あるいは「恋愛対象が異性である」ことは、考えるまでもなく当たり前のことであって、
疑問に思ったことすらないはず。
ところが、現実にその枠からはみ出てしまった人達は存在するし、
そもそも「性」は実に多様なもので、簡単には考えることのできないものなんだよね。

私はずっとそのことを考え続けてきたし、今も考え続けている。
このブログは、管理人・神立 陽(かんだち あきら)が自分のために綴るものであり、
世の中への問題提起であり、
私と同じようにセクシュアリティに揺らぎを持つ人たちへ、
なんらかの情報なり、ある種の答えなりを提供できる場であることが出来ればいいと願っている。

私たちは確かにここにいる。



管理人のプロフィールや連絡先が知りたい人、
↓↓↓「続きを読む」からどうぞ。


>>続きを読む


初めての方へ。 | トラックバック(0)2008/04/27(日)18:14

«  | HOME |  »


プロフィール

神立陽

Author:神立陽
生きてるのか生きてないのか、よくわからないイキモノ。
もちっと詳しいプロフィールとか、
連絡先とかはこちらへ。

FC2カウンター

カレンダー

06 | 2008/07 | 08
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ブログ内検索